
店頭用POP配布
店舗様向けに、本ページで紹介している農家の店頭用POPを配布しています。
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「人間の身体と土はつながってるんだよ。」茨城県で40年近く有機農業を続ける長島さんは、そう静かに語ります。
部屋には本が山積み。『土と内臓―微生物がつくる世界』は、米国の地質学者による本で、微生物に関する専門的な内容が書かれています。「農業の本はほとんど読んだことない」という長島さんが暇さえあれば読むのは、哲学や生き方、そして微生物の世界を語る本の数々です。
75歳になる今も現役。畑は約3.5ha、水田は5反(約0.5ha)で、トマト、きゅうり、レタス、米など多品目を栽培しており、黒砂糖を酵素で発酵させた液を希釈して野菜に散布して育てています。就農40年目を迎えた今も研究意欲は衰えず、「来年は露地イチゴに挑戦したい」と語ります。長島さんが実践する農業は、ただ野菜を作って売ることではなく、哲学であり、発酵であり、感動する味を追い求める「旅」なのです。
有機野菜生産者と購入希望者のパイプ役から農業へ。1980年代、30代半ばで故郷の茨城に戻った長島さんが本格的に有機農業を始めたのは40代前半のこと。きっかけを聞くと、「作る方が面白いから」と即答。「農薬や化学肥料を使わないで作れるのかって、みんな考えちゃうんですよね。そういうのがなくても作れるっていうのを自分で実証したかった」と言います。
ちょうどその頃は、有吉佐和子の『複合汚染』、レイチェル・カーソン『沈黙の春』がベストセラーとなり、日本でも有機農業への関心が高まった時代でした。この地域だけでも年間20人ほどの新規就農者がおり、「みんな有機農業や自然農法を志している時代だった」と長島さん。
ご自身も20代の頃から有機農法を学び、滋賀県で酵素を使った有機農法に出会い、その後、長野・小布施の師匠のもとで学びました。師匠から言われ続けたのは、「安全で美味しい野菜を作りなさい。人の命が喜ぶような野菜を」という言葉。

「たくさん本を読んで、いろんな生き方とか哲学とか、そういうことに首を突っ込んでいくと、野菜作りにたくさんヒントが出てくる」と長島さんは言います。
例えば、詩人の先生との会話。「長島さん、夏になったら真っ赤なトマト食べたいね」と言われたとき、「彼が言うその真っ赤なトマトっていうのはどんな味がするのかなとか、そういうことを想像しながら作ると面白い」と、微笑みながら話します。
「感動する味が、体の中に染み込んでいくといいんじゃないかなと思いながら作ってるよ」
毎年、作り方は同じではありません。「今年のトマトはいいな、という年もあれば、病気が出てしまう年もある。なんであの病気が出ちゃったのかって考えて、それでまた来年どういう風に挑戦するか、というのを考えて、次の方針がだんだん固まってくる。」毎日が試行錯誤の連続で、あっという間の40年でした。
有機農法では難しいとされるトマトやきゅうりの栽培を続けている長島さん。お客さんからは「味が濃い」「糖度が高い」「棚持ちがいい」と評判も上々。都内の有機食材専門店では、東京まで1時間半程度という地の利も活かして「朝採れ」トマト・きゅうりとして販売されています。
今も「食べてもらいたいものはいくらでも出てくる」と笑う長島さん。毎年が挑戦の連続というのが、有機農業の面白さでもあります。

インタビューで最も印象的だったのは、長島さんが語った「人間の内臓と土のつながり」についてのお話でした。
毎年、冬になると畑の横に「踏み床」を作るそうですが、その作業中にも「つながり」を感じると言います。踏み床とは、落ち葉と米ぬかを混ぜて木の枠に入れ、長靴を履いて何人かで踏み込んで作る発酵床のこと。「不思議なことに、人間が踏まないとうまく発酵しないんですよ」と奥様。
生協の組合員たちと一緒に近くの落ち葉をさらって、木の枠に落ち葉とぬかを入れて踏む。「水と糠と落ち葉、その配合が絶妙なの。」長年の経験がものを言います。
発酵が進むと湯気が出るほど温かくなる。「踏み床ってすごく正直で、発酵しない時は温度が全然上がらない」のだそう。更に、踏み床の熱を使って発酵させた納豆は絶品だとか。「踏み床の上に三日置くといい納豆ができる」そうで、同席していた県の職員も「あれ食べたら誰でも納豆って本当に美味しいんだね、と言う」と相槌を打っていました。長島さんも「香りが違うね」とひと言。
そして奥様は、踏み床の話から夫婦の愛読書でもある『土と内臓』の話に繋げます。
「うまく説明できないけど」と前置きしながらも、「人間の内臓と土の中って、いろんなところでつながってるんですよ。」と確信に満ちた表情で語りました。
微生物農法では、酵素と微生物は土の中で「お互いに作ったり作られたりして、発酵を繰り返して」共存しています。「基本的には野菜というより、土そのものを育てるみたいなイメージ」長島さんは言う。
土を育てる微生物の働き、人間の体の中にいる微生物の働き。体の中で働く微生物も、すべては食べるもので命を繋いでいて、それらはすべてつながっている。長島さんの実践する微生物農法は、そんな目に見えない世界とのつながりを大切にしているのです。

最後に、これから有機農業を志す人へのメッセージを伺いました。
「一番大事なことは経済的に自立できること。有機農業って大変だって言ってるけど、経済的に自立しなかったら続かない。新規就農の九割以上の人は辞めちゃう」という厳しい現状を話す長島さん。
野菜の作り方については「徹底的に習わなきゃダメ」と言いつつも、「最初から聞かない、絶対。頭で考えるよりも直観力が大事。感じたことをまとめて、それで最後に聞くんですよ。初めて聞く。でなきゃ失礼だもん」と、自分で感じることの大切さを、長島さんは何度も強調しました。
長島さん自身、「野菜作りを教わった覚えはない」という。「見て覚えた」のだと。とはいえ、尊敬する師匠との出逢いには感謝の言葉が尽きません。小布施で有機農業を営んでいた師匠の背中は、今も追い続けています。
……
哲学や読書から学び、詩人の言葉から味を想像し、微生物の世界に思いを馳せる。
力強く発酵する踏み床の上で「人間の体と土はつながっている」ことを実感する。
「安全で美味しい野菜を作りなさい。人の命が喜ぶような野菜を」
師から受け継いだこの言葉を胸に、長島さんは今日も畑に立っています。
目に見えない微生物たちとともに、感動する味を追い求めて。

代表者:長島 昌裕
住所:茨城県行方市山田3222-7
HP:なし
主な栽培品目:レタス、きゅうり、トマト、茄子