店頭用POP配布
店舗様向けに、本ページで紹介している農家の店頭用POPを配布しています。
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小美玉市の農業法人・株式会社ユニオンファームは、農業資材販売を手がける企業の新規事業として、2000年から有機栽培事業に参入。翌年の2001年から国の制度として有機JAS認証制度がスタートすることから、これから日本に有機農業が広がっていくだろうと見越してのことでした。なぜ資材販売会社が自らの手で有機栽培をするのか? その理由は当時、これから有機農業を広めるにあたり、まだまだ資材の開発が進んでいなかったから。いくら「有機栽培の野菜はこれから売れる!」と言っても、必要な農業資材や栽培技術がなければ、いつまでたっても新規就農者は増えません。「まずは自分たちが当事者となり、実践しなくては説得力がない」そんな想いから、有機栽培にチャレンジしたのです。
とはいえ有機栽培事業をスタートした頃は、全員がまったくの未経験。有機栽培の技術はもとより、作った野菜をどうやって流通させ、どうやって消費者のもとへ届けるのかも、誰も知りませんでした。創業早々にやってきたピンチを乗り越えられたのは、農業資材の小売経験があったからこそ。「農業資材を販売するのと同じように、まずは有機野菜の売り場を知ろう、そして買ってくれる人たちのことを知ろう」と、有機野菜の“マーケティング“から着手したのです。
まずは売り先の選定から、と考えた社員たちが勝負の場所に選んだのはなんと、ごく普通の街の食品スーパーでした。当時、有機野菜は百貨店の青果売り場などの限られた場所での販売がほとんどでしたが、それでは市場規模も購入する顧客も限られてしまいます。敢えてスーパーという様々なニーズを抱えた顧客が訪れる場所をターゲットに据えて、農業資材を売っていた時と同じく、陳列棚の面積を確保することに注力する戦略をとったのです。
スーパーで品物を選んでいる時、その品物の目の前にいる時間は平均1秒以下だそう。そのため、スーパーでは「いかに消費者の目に留まるか」が大切ですが、 広いスーパーの中で1品目だけで消費者の注目を集めるのは至難の業。だから食品メーカーはこぞって新フレーバーの商品を発売するなどして「棚の面積」を確保しようとするのです。ユニオンファームではこの戦略に則って、「葉物野菜コーナーの棚の面積を確保しよう!」という戦略を立てました。一般的に、スーパーの青果コーナーは最も入り口付近にあり、なおかつ葉物野菜は最も入り口寄りに固めて置かれることがほとんど。そんな葉物野菜コーナーでユニオンファーム印の有機野菜が面積を確保すれば、自ずと注目度が上がるはず、と考えたのです。
この戦略は見事に的中し、最初は1品目だった葉物野菜の供給は、今では11品目までに増えました。更に、品種を葉物野菜に絞るという戦略は有機栽培を続ける上でも多くのメリットが。葉物野菜は、果菜や根菜などに比べて栽培期間が短くて済みます。栽培期間が短いということは、それだけ病害虫に犯される心配が減るということ。有機栽培を行う上でのリスク軽減に直結するのです。
現在、自社のハウスで育てているのは小松菜、青梗菜、水菜、レタス、春菊、ほうれん草など。ハウスの中で輪作(異なる科の野菜を育てることで、土中の栄養が偏らず、病気が出にくい状態にする)を行うことで、常に安定した栽培と供給を実現しています。「地元のあのスーパーの有機コーナーの葉物野菜、全部うちのだよ!」と言えることは間違いなく、社員の努力の結晶であり、誇りと呼べるでしょう。
ユニオンファームの創業7期目から就任した玉造社長は、環境面はもちろん、経営や雇用の面でも「持続可能性のある農業をやっていきたい」と語ります。環境面としては、有機農業をもっと世の中に広める必要があります。現在、有機農業は日本中の畑の中でわずか0.5%の面積でしか行われていません。国は2050年までに、この0.5%のシェアを25%まで高めるという方針を打ち出しました。この方針を達成するには、有機野菜の生産技術と販売力を全体的に底上げすることが急務です。
有機野菜の生産は難しそうに感じますが、玉造社長は「誰でもできることしかやっていない」と言います。「自己満足ではなく、お客さまの目線に立って野菜作りをしていけば、誰でも有機農業を実践できます。だからこそ、私たちが“パイロットファーム“的な立場を担って、これから有機農業を始めようとしている方々に役立つようなノウハウを確立できればと考えています」と社長。
さらにユニオンファームでは、雇用の面でも持続可能性のある仕組みを実現。独立を希望した社員たちとフランチャイズ農場として契約し、独立を支援しています。これまでに独立就農した社員は4名。希望に応じて様々なキャリアプランを描ける環境も、仕事として農業を続けていくための大切な要素です。また、社長自身も創業者ではない経営者として、“創業者の熱意に依存しない経営“を目指しています。「創業社長が引っ張っていく会社だと、リーダーがいなくなった瞬間に立ち行かなくなってしまいがちです。会社は従業員の人生を背負っていますから、100年先まで続く企業にしていかなくては。次の世代にバトンタッチすることも視野に入れて、会社としての仕組み作りをしていきます」。
パイロットファームとして、茨城から日本の有機農業を牽引していくユニオンファームは、生き生き育つ野菜たちのように、上を向いて進んでいます。
代表者:代表取締役社長 玉造 洋祐
住所:茨城県小美玉市中延1712番地
ホームページ:http://www.union-farm.com/
主な栽培品目:小松菜、青梗菜、水菜、レタス、春菊、ほうれん草、パクチーなど